日経オートモーティブ 新車レポート

ホンダ「ストリーム」
ミニバンのストレスをなくす
全高下げながら居住性進化

ミニバンの中にも低床タイプが続々と登場しているが、 その先がけとなったのが2000年に登場した初代「ストリーム」。 6年振りに登場した2代目は、外観上ではまったくミニバンに見えないスポーティーな デザインを実現しながらも、居住性や使い勝手を進化させた(図)。

 日本でのミニバン人気は衰える気配がない。今や国内市場の乗用車(軽自動車を除く)登録において、4台に1台がミニバンとなっている。2005年の新車登録台数は、400万台弱。そのうち、ミニバンは98万台にも上る。
 しかし、安定して売れる背高タイプに対し、ストリームやトヨタ自動車の「ウイッシュ」など低床タイプの競争は厳しい。トヨタの初代「イプサム」のシェアをストリームが奪ったかと思うと、逆にウイッシュが奪い返すという具合に、常に売れ筋車種が変わる。

ゼロから開発をスタート
 こうした状況から、キープコンセプトでストリームの2代目モデルを開発するという選択肢は見送られた。開発を手掛けた本田技術研究所企画室LPL(ラージプロジェクトリーダー)の筒井研也氏は、「決まっていたのは名前と7人乗りということだけ」と、先代を参考にするどころか、ライバルのウイッシュさえも視野に入れず、ゼロから開発を進めたという。
 しかし、「ホンダの中で企画はもめた」とこの開発の難しさを筒井氏は振り返る。「極端にいえばスライドドアのボクシーな車から、CR-Xのようなスポーティーなものまで様々なイメージスケッチを作った」(筒井氏)。
 ただ、同社には既に背高タイプの「ステップワゴン」がある。ストリームの開発を機に詳細に実施したユーザー調査では特に女性から「背高タイプは大きくて運転しにくく見える」という声も聞こえてきた。そこで、開発陣は「ホンダらしくてスポーティーなミニバン」を目指し、クーペを思わせる低くワイドなデザインを狙った。

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図●ホンダの「ストリーム」(a)とデザインスケッチ(b)
7人乗りのミニバンながら全高を1545mmに抑え、スポーツクーペを思わせる躍動感のあるデザインを狙った。