日経オートモーティブ 技術レポート

Automotive Technology Day 2006 summer
樹脂ガラスや微細結晶鋼で軽量化
欧米先行するレーザ溶接やMg応用

 日経Automotive Technologyと日経ものづくりは2006年7月14日に技術セミナー「Automotive Technology Day 2006 summer~クルマの軽量化・コスト削減を達成する材料・加工技術の最前線~」を名古屋で開催した。

 プログラムはトラック1「クルマを軽くする材料の最新トレンド」とトラック2「新加工技術が可能にするクルマの軽量化・低コスト化」で構成。
 トラック1で最初に登壇した三菱総合研究所産業戦略研究本部産業戦略グループ主席研究員の奥田章順氏は、まず最近のクルマの軽量化トレンドを示し、例として最新型「プリウス」の軽量化の事例を紹介した。また軽量化に取り組む戦略として、論文や特許、専門家アンケートによって自動車にどのような軽量化手法が適用されているかを分析する「軽量化マップ」のコンセプトについて紹介した。

ワイパーに耐える樹脂ガラス
 次に登壇したゼネラル・エレクトリック・インターナショナル・インク のプラスチックス-オートモーティブ アプリケーション・ディベロップメント・スペシャリスト菅原誠氏はガラスを樹脂化する「Exatec 900」技術について解説した。ガラスを樹脂化することで、板ガラスに対して最大40%の軽量化が可能になるほか、リアウインドーとテールランプを一体化するなどデザインの自由度向上、部品の統合化などのメリットがあると指摘した。
 同技術は、PC(ポリカーボネート)を基材とし、その上に加飾のための印刷やアンテナ、熱線などの機能印刷、ウエットコーティングによるシリコーン系のハードコート、そしてプラズマコーティングによる無機系材料のハードコートから構成される(図)。特に、プラズマコートによるハードコートは「薄いガラス膜を形成するようなもの」(菅原氏)で、ワイパーに耐えるなど、従来のシリコーン系では達成できなかった耐傷付き性を実現した。

日経オートモーティブ 技術レポート
図●Exatec 900システムの構成
PC基材の上に、加飾・機能印刷、耐候性コート、耐傷付き性コートを施す。