日経オートモーティブ 技術レポート

トヨタ自動車の新型レクサス「LS460」
エンジン、車体刷新で性能向上
ステレオカメラ備え安全性強化

 トヨタ自動車は2006年9月19日、レクサスブランドのフラッグシップモデル「LS460」を発売した(図)。エンジンや車体を一新し、ステレオカメラやミリ波レーダによる歩行者検知機能も備える。価格は770万~965万円だ。

 渡辺捷昭社長は報道関係者向け発表会で、「レクサスブランドの核となるモデルが完成した。これまでのプレミアムカーの基準を超えることができた」と述べた。今後60カ国で発売し、2006年中に2万台を販売する計画。新型LSは先代のLS(日本名セルシオ)登場時に比べ、全長と全幅が35、45mm大きくなった。車両質量は1940kgと160kg増えている。大型化したボディには、排気量4.6Lの新開発V型8気筒エンジン「1UR-FSE」を搭載、世界初の8AT(8速自動変速機)と組み合わせた。
 新V8は従来のLSより排気量が0.3L増加し、出力は206kW(280PS)から283kW(385PS)に、最大トルクは430 N・mから500N・mにそれぞれ向上した。環境性能を重視した新型LSは燃費も改善し、4.0L超ではトップクラスの9.1km/L(10・15モード)を実現している。
 1UR-FSEは、直噴とポート噴射を備え、圧縮比は11.8と高い。吸気側にモータで位相を変化させる連続可変バルブタイミング機構「VVT-iE」も初採用した(排気側は油圧ベーン式)。
VVT-iEは、カムシャフトとモータを減速機構、リンク機構を介して接続したもので、モータ回転を変加させてリンク機構を動かすことで位相を変化させる。油圧ベーン式が機能しにくい1000rpm以下の低回転域、冷間始動時に動作できること、可変範囲が広いことにより燃費と出力を両立した。

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図●トヨタ自動車の渡辺捷昭社長と「LS460」