日経オートモーティブ 技術レポート

ホンダの新世代ディーゼルと新型燃料電池車
触媒でアンモニア生成しNOx浄化
ガスを垂直に流す新スタック

 ホンダは2006年9月下旬に報道関係者を本田技術研究所四輪開発センター(栃木)に招き、開発中の新世代ディーゼルエンジンと、燃料電池コンセプト車「FCXコンセプト」の走行可能な試作車を公開した(図)。

 ホンダが今回開発した新世代ディーゼルエンジンは、ガソリン車と同等のレベルに排ガスを浄化することを求める米国の排ガス規制「TierII Bin5」を達成(社内測定値)するのが最大の特徴。触媒内部でNH3(アンモニア)を生成し、このNH3による還元反応でNOx(窒素酸化物)をN2 に変換する世界で初めての浄化システムを実現した。

NOxからアンモニアを生成
 新開発の触媒は、排ガス中のNOxを吸着してNH3に転化する層と、触媒内で生成したNH3を吸着して排ガス中のNOxをN2に還元する層の2層構造を採用する。反応メカニズムは次の通り。(1)通常の空気過剰な燃焼状態(リーンバーン)では下層のNOx吸着層に排ガス中のNOxを吸着する。(2)必要な時期になると燃料の比率を濃くし(リッチバーン)、NOx吸着層のNOxを排ガス中のH2と反応させてNH3に転化、上層のNH3吸着層にNH3を一時的に吸着する。(3)再度リーンバーン運転になったときに、上層に吸着されたNH3が排ガス中のNOxと反応してN2に還元――。
 新ディーゼルエンジンでは、エンジンの後の酸化触媒でCO/HC(一酸化炭素/炭化水素)を浄化、DPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルタ)でPM(粒子状物質)を取り除いたのち、今回開発したNOx触媒によってNOxを還元する。

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図●TierII Bin5に適合する新世代ディーゼルエンジン
触媒中でNH3を生成し、NOxを還元する。