日経オートモーティブ Key Person

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東北大学助教授

山中 将氏

1988年東北大学大学院修士課程修了。豊田工機(現ジェイテクト)入社。自動車部品用特殊研削盤の開発に従事。1995年博士(工学)。1997年東北大学講師、2001年より現職。研究分野:無段変速機の開発、機械要素、工作機械、機械設計。2001年から子ども向け科学教室の開催にも携わる。


 大学では珍しく、独自構造のCVT(無段変速機)の開発を手がける。構造は金属ベルト式に似ているが、ベルトの代わりにシャフトを使うため、原理的には、より大きな駆動力の伝達が可能。「都市バスに使えるCVT」を目指して改良を進めている。(聞き手は鶴原吉郎:p.96に関連記事を掲載)

――CVTの開発を始めたきっかけは。
 私たちの研究室は元々歯車の強度や騒音などの基礎的な研究を手がけていました。それは現在も続けていますが、そのほかに、私たちのこれまでの経験を生かしながら、何か環境に貢献するような研究をしたいと考え、2000年から新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の補助金を受けて、シャフト式CVTの開発を始めました。

――シャフトドライブ式CVTの発想はどこから。
 私たちが開発を始めたときにはまだ、金属ベルトCVTは、ベルトの強度的な限界から排気量2.5L程度のエンジンまでしか使えないと言われていました。ベルトの代わりにシャフトを使えば、この限界を打ち破れるのではないかという発想が出発点です。
 当時すでに、日本精工が開発したハーフトロイダルCVTが実用化しており、動力を伝達するためのトラクションオイルを出光興産から提供してもらえることになったのも追い風になりました。またハーフトロイダルCVTを開発した日本精工取締役で代表執行役専務の町田尚氏は本大学の出身なので、いろいろ教えてもらいながら開発を始めました。