日経ものづくり 特報

生産変動に負けない
三菱重工のITシステム

BOMを素早く連携させてWebで共有



設計変更が常に発生する工作機械の製造において,なるべく柔軟に対応したい。これを実現するべく三菱重工業では,Web画面から必要な情報を即座に入手できる生産管理システムを構築した。ポイントは,E-BOMをM-BOMに素早く変換する仕組みを持たせたことだ。

 工作機械に代表されるような生産リードタイムが長い受注生産品では,顧客の要望が変わり設計変更が度々起きる。また,納期を守るために,顧客との間で仕様が完全に決まる前から生産に着手しなくてはならないこともある。
 このような生産形態では,設計で変更になった情報,あるいは設計で新たに固まった情報を迅速に後工程に流さなくてはならない。変更情報を素早く生産部門に伝えた上で,生産計画や購買計画を変更する。
 このスピードが遅いと設計変更で納期に遅れが生じるなど,顧客の信頼感を失うことになりかねない。また,生産現場が混乱すると生産性も悪くなる。設計情報と生産情報の連携を迅速に行うこと,そしてその情報をしかるべき担当者が迅速に入手して,アクションを起こせることが重要だ。
 これを可能とする生産管理システムを構築したのが,三菱重工業の工作機械事業部だ。同事業部が2005年9月から一部の運用を開始,現在も拡張を続けている生産管理システムのポイントは,(1)設計情報を集約した設計部品表(E-BOM)が,生産情報を集約した生産部品表(M-BOM)に素早く変換される仕組みを構築(2)M-BOMの情報を,必要な人が必要な切り口で自由に閲覧できるWebシステムを構築――の二つ。従来と比較して生産台数が約2倍になったにもかかわらず,現場が混乱せずスムーズな業務フローを確立している。

日経ものづくり 特報
図●生産拠点の統合を機にシステムを開発
広島工場での生産をやめ,栗東工場に集約。それを機に新生産管理システムを開発した。