日経ものづくり 詳報

国交省,戸開走行の防止に向けて
エレベータの安全基準を見直し

制御プログラムを介さない安全装置の義務付けを検討

 2006年6月に発生したエレベータによる死亡事故を受け,事故の再発防止策を検討している国土交通省の「建築物等事故・災害対策部会 エレベータワーキングチーム」は2006年8月22日,エレベータの安全確保に向けた当面の対応策を取りまとめた(図)。特に,エレベータのトビラが開いたままで上昇や下降してしまう「戸開走行」の防止策に重点が置かれている。
 当面の対応としてはまず,現行制度の枠組みを維持しつつ,その内容の修正や追加をする。特に,事故を起こしたシンドラーエレベータ社製品で指摘されている制御装置と電磁ブレーキの不具合に注目した。
 その一つが,制御プログラムを介さないリレー・シーケンスによる安全装置の義務付けだ。これにより,戸開走行の防止を徹底する。
 現在,建築基準法の技術的基準では戸開走行の防止装置については定性的な規定となっており,具体的な実現方法や性能評価,認定に関する規定はない。特に制御プログラムによる安全装置の不具合は,プログラムミスや電子回路の劣化といった原因を完全に取り除くことは困難で,建築確認や検査においても十分にチェックされていないのが現状だからだ。

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図●「第4回 エレベータワーキングチーム」の様子
エレベータ事故の再発防止策について取りまとめた。