日経ものづくり 詳報

まだまだできる自動車の軽量化
鋼,アルミそれぞれから提案

「AUTOMOTIVE TECHNOLOGY DAY」より

 自動車の軽量化が一段落したといわれる中,大幅な軽量化を期待できる新素材は尽きることなく現れる―2006年7月14日,日経BP社が開催したセミナー「AUTOMOTIVE TECHNOLOGY DAY」ではそうしたことを感じさせた。鉄鋼,アルミニウム合金それぞれの立場から報告があった。

硬いからといって,強くなるとは・・・
 JFEスチールは,1台当たり45kgの軽量化を見込める超高強度棒鋼の新製品「Fineγ」について講演した。Fineγはパワートレーン系に向けて開発した棒鋼商品。オーステナイト結晶粒を,世界で初めて2~3μmまで微細にした。実用例はまだないが,自動車メーカー各社から反響があり,説明に追われている段階だ。具体的な商談も進み始めたという。
 用途は例えば等速ジョイント,クランク軸など駆動力を受け止める構造部品。外板と違い,樹脂化,アルミ化は難しく,今後も鉄鋼でいくしかないという。
 鉄鋼は,一般には鉄に炭素を入れていくにつれて硬くなる。それに従って疲労強さも上がっていくのだが,あるところを超えると伸びが止まって飽和する(図)。これは,ある限度を超えると結晶粒界で破壊が起き始めるからだ。

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図●硬さと疲労強さの関係