日経ものづくり 詳報

ホンダ,念願の航空機事業に参入
機体事業の新会社を米国に設立

2010年中に第1号機の引き渡しを目指す

 ホンダは2006年7月26日,同社が自社開発した小型ビジネスジェット機「HondaJet」を量産し,航空機事業に新規参入する計画を明らかにした(図)。同年8月8日には量産機の開発,製造,販売を行う新会社の設立も発表。20年の歳月を費やした念願の航空機事業に強い決意で挑む。

性能だけでなく商品性で勝負
 ホンダが航空機事業への参入に当たって設立した新会社である米Honda Aircraft社では,間もなく量産型HondaJetの受注を開始する計画。3~4年以内に量産型機の認定を取得して米国で量産を開始し,2010年中に第1号機の引き渡しを目指す。
 価格は未公表だが「同じクラスのビジネスジェット機は400万米ドル以下。コスト・パフォーマンスで競争力のある価格を設定する」(Honda R&D Americas社副社長の藤野道格氏)という。販売網とサービス網については,米国の飛行機メーカーであるPiper Aircraft社と業務提携して整備していく。
 ホンダが一つの強みとして自負しているのは,自動車などのコンシューマー製品の開発/製造で培ってきた「商品としての完成度を高めるノウハウ」である。同社は,そうした強みを駆使して,性能面だけでなく内装の色や質感,シートの質感などの商品性を高めた航空機を投入していくとしている。
 ホンダは既に航空エンジン事業には参入しており,2004年には米General Electric社との折半出資会社として「GE Honda Aero Engines社」を設立している。同社は,ホンダが開発した「HF118ターボファンエンジン」など,民生用小型ターボ・ファン・エンジンの事業化を目的に設立された。

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図●航空機事業への参入を発表
米国で開催された「Air Venture 2006」の会場において,ホンダは自社開発の小型ビジネスジェット「HondaJet」を量産し,航空機市場へ新規参入すると発表した。壇上はHondaJetの開発責任者で,量産機の開発,製造,販売を行う新会社Honda Aircraft社の社長に就任する藤野道格氏。