「何とかしてレーザの応用範囲を広げたい。これまでに光ディスクと光通信は一大産業になった。次の候補の一つがディスプレイではないか」(ソニー コアコンポーネント事業グループ コアテクノロジー開発本部 アドバンストレーザテクノロジー部 統括部長の平田照二氏)。

 レーザの用途拡大に意欲的なソニーが今回試作したのは,リアプロ用の光源である。リアプロのHgランプの白色光のうち青色と緑色成分はそのまま用いて,赤色だけを半導体レーザが供給する。同社は「赤レーザ・アシスト」あるいは「ハイブリッド光源」などと呼んでいる。

 レーザをプロジェクターの光源に応用する可能性はこれまでもいわれてきた。今回のソニーの取り組みがユニークなのは,緑色レーザの開発が進まない現状を踏まえて赤色レーザの実用化を先行させようとしていることである。「赤,青,緑の3色の半導体レーザをそろえて色再現範囲を広げるのが理想ではある。しかし,赤を使うだけでも効果が十分ある」(ソニーの平田氏)と考えた。その理由は,現在のHgランプでは赤色の表現が泣きどころだからである。