2006年8月から実証プラントで月産1トン,2007年には事業化へ――。次世代のLiイオン2次電池の正極材と考えられていたLiFePO4(リン酸鉄リチウム)の実用化に向けた動きが加速している。三井造船はセルとしてのエネルギー密度を体積当たりで260Wh/L,質量当たりで115Wh/kgまで高めたLiFePO4系の正極材を開発した。既に一部の電池メーカーなどにサンプル供給を開始している。

 LiFePO4は,携帯電話機などで使われている既存の正極材料であるLiCoO2に比べて(1)材料コストが半分以下,(2)400℃の高温下でも酸素を放出せず安全性が高い,(3)結晶構造が強固で長寿命,という特徴がある。このためハイブリッド車や発電所などの電力貯蔵など中~大型のLiイオン2次電池の正極材として,研究開発が続けられてきた。