第1部<問題提起>
「電気離れ」に直面する大学
数年後には企業への影響も

 学生の「電気離れ」が深刻だ。大学の関連学科への志願者数は,ここ数年軒並み減少している。数年後には企業への波及が必至である。ここ数年にわたり好業績を上げられないことに加え技術者への待遇改善を怠ってきた産業界の責任は重い。企業は技術者を引き付けるような職場環境の構築を目指す必要がある。

第2部<個人編>
広がるキャリア・パス
今こそ将来設計

 エレクトロニクス技術者を取り巻く環境が好転しつつあり,技術者が足りない状態だ。5年前なら電機メーカーの不振を受けて,リストラの危機にあった技術者。だが,ここにきて電機メーカーの業績が回復し,その立場に改善の兆しが見えつつある。自動車メーカーなど異業種でも,エレクトロニクス技術者を欲し始めている。技術者不足がこのまま深刻化すれば,人材を確保できない企業は生き残れなくなる。

第3部<組織編>
国も企業も立ち上がる
まずは「人づくり」

 産業競争力を高めるために,人材の育成が焦眉の急になっている。ただし,イノベーション創出に向けた人材育成は,大量生産を軸に据えてきた日本にとって未知の分野。イノベーション創出時代に適した新しいモデルの確立を目指し産学官が連携を密にして取り組む必要がある。

第4部<資料編>
企業のリストラがひと段落
技術者に安定志向が見え隠れ

 本誌は,技術者を取り巻く労働環境や技術者の仕事に対する考えを聞く,技術者調査を実施した。今回の調査結果からは,事業の選択と集中を進めてきたエレクトロニクス・メーカーが攻めに転じている様子が感じ取れた。新規雇用が拡大傾向にあるほか,技術者不足を補うために外国人を採用する企業も増えている。企業の好転を受けて,技術者も現状に対する不満が減少しているようだ。