日経ものづくり 設計者のための解析入門

第7回 解析結果の見方

狙い通りに解析できているか
まずは妥当性を確かめる

解析を実行した後に必ず行う結果の評価。コンター図やベクトル図での結果確認には,シミュレーションによる予測という解析本来の狙いはもちろんだが,それ以前に解析条件が妥当かどうかを確認するという意味もある。構造解析の最終回となる今回は,この結果の見方について解説してもらう。(本誌)

西浦 光一
積水化学工業 環境・ライフラインカンパニー京都研究所 ESSプロジェクト

 本連載ではこれまで,メッシュ作成や解析実行の際の課題と解決策について言及してきた。今回は解析結果を表示し評価する際に,気を付けるべき点について述べる。

狙い通りの計算になっているか
 計算実行後に解析結果を表示したり演算したりすることを,一般に「ポスト処理(ポスト・プロセッシング)」と呼ぶ。そのためのツールが「ポストプロセッサ」である。
 ポスト処理による評価には
A.解析条件の妥当性評価:狙い通りの計算となっているかどうかの確認
B.解析結果の評価:本来の解析目的である強度や固有値などの定性的傾向や値を知る
という二つの役割がある。
 計算が終了すると,すぐに解析対象物の強度といったBの結果評価に意識が向いてしまうが,まずは,Aの解析がうまくいっているかどうか,の確認に目を向けてほしい。
 解析結果の評価は,納得のいくような解析条件だったかどうかを自己判定するところから始まる。設計者が評価したい対象を,解析モデルで正しく表現できているかどうかは,解析結果があらかじめ想定したような結果になっているかどうかを確認すれば,おおよそは判断できる。

日経ものづくり
図●矩形断面の片持ちはりモデル
長手方向,誌面に向かって右端を完全拘束し,同左端に荷重をかけた。