日経ものづくり 詳報

シンドラー製エレベータの死亡事故
国交省が再発防止策の検討を開始

「エレベータワーキングチーム」を設置して2カ月後をメドに報告

 2006年6月3日に発生したエレベータによる死亡事故は,トビラが開いたままエレベータが上昇するという,あってはならない動作が引き起こした。事故原因の特定は慎重に進める必要があるが,事故機の製造元であるシンドラーエレベータ(本社東京)のエレベータでは,事故機以外でも同様の不具合が発生していることが明らかになっており,早期の原因究明と再発防止への取り組みが求められている。
 事故発生の直後から,国土交通省はシンドラーエレベータや公的機関などに対して,同社製エレベータについての設置状況や不具合状況などに関する情報提供を要請。さらに2006年6月15日には,「第5回建築物等事故・災害対策部会」を開催し,再発防止策を含めた,今後の対応についての検討を開始した(図)。
 国土交通省に対するシンドラーエレベータの報告によると,制御器,駆動装置,トビラが開いているときにエレベータを昇降させない安全装置のすべてが事故機と同じエレベータは,全国で13台(事故機を含む)が設置されている。ただし,事故原因に関する情報については,第5回部会の時点では新聞報道などにおける指摘を整理している状況だ。
 部会が着目しているポイントは大きく二つ。事故機におけるブレーキや制御盤などの不具合と,不具合情報や技術情報の伝達・共有の問題である。
 部品の不具合は特に,トビラが開いたままで上昇することを防ぐ安全装置が作動しなかった直接的な原因の究明につながる。部会では,「トビラの開放を検知する部分」「検知する情報を処理し,制御する部分」「制御信号によってエレベータを動かし,停止する部分」―のそれぞれについて考えるべきだという意見が出された。

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図●「第5回建築物等事故・災害対策部会」の様子
2006年6月15日に開催され,事故の再発防止策の検討を開始した。