第1部
世界を目指してこその映像配信
パイの奪い合いから市場拡大へ

 パソコン向けのGyaO,テレビ向けの4th MEDIAやBBTV…。ブロードバンド・ネットワークの世帯普及率が4割近くに達する今,本格的に映像をネット配信できる環境が整いつつある。しかし,国内市場だけの動向に注目したり,コンテンツの拡充を怠ったりすれば,世界に冠たる日本のブロードバンド・インフラは宝の持ち腐れになる。海外でも,Google社やApple社らが映像配信に積極的に乗りだす中,日本で,世界で,果たして映像配信の基盤は誰が握るのか。

第2部
映像配信の確信と不安
常識はこれから生まれる

 「いまだ先行投資の時期」と事業者が口をそろえる映像配信。提供するコンテンツの種類,有料と無料の使い分けなど,さまざまな試行錯誤が続いている。とはいえ,今の枠組みで成功していないことを理由に,その可能性を否定してしまうのはもったいない。行政も,通信や放送の事業者も,映像配信の将来を見据えて活発に動いているからだ。2010年にかけて法規制が大きく変わり,新たな映像配信サービスも続々と誕生するだろう。誰が映像配信の基盤を握るのか,そのときにどのサービスが標準となっているのか──。各方面での取り組みを注視すると,将来の映像配信の姿がおぼろげながら見えてくる。