日経ものづくり トヨタ生産方式の真髄と新展開

第6回

多品種少量ロット受注生産へ適用

村山 明
中部産業連盟 東京本部 
主席コンサルタント
水村 重人
同連盟同本部 コンサルタント

トヨタ生産方式を導入していくポイントについて,代表的な生産形態を取り上げて具体的に解説していく。今回は,多くの下請け企業が属する多品種少量ロット受注生産への導入。このタイプの工場では,受注単位は少量でも,生産ではロットを大きくして流そうとする。本来は柔軟な生産体制の構築を目指すべきだ。   (本誌)


 前回までは,トヨタ生産方式の基本的な考え方・思想と,それを実現するための具体的な方策・手法について解説してきた。今回からはトヨタ生産方式を,生産形態の異なる幾つかの工場に具体的に適用していく方法について解説する。最初は「多品種少量ロット受注生産」タイプの工場への適用を取り上げる。

多品種故に多くある課題
 一般的に多品種少量ロット受注生産タイプの工場では,受注により多品種の製品を生産する。それらの製品の多くは繰り返し性はあるが,1回の受注ロットは非常に少量。特殊仕様の製品の受注もたまにある。多くの場合,プレス機,自動機械,塗装装置,熱処理設備などの特殊機械設備を持つ。いわゆる中小下請け企業の大部分は,この生産タイプの企業である。
 この生産タイプの工場に,適切にトヨタ生産方式を導入していくため,まず主な問題点・課題を明確にする。

日経ものづくり トヨタ生産方式
図●多品種少量ロット受注生産タイプの企業がトヨタ生産方式を適用する際の考え方
さまざまな課題を勘案してあるべき姿を実現するためには,トヨタ生産方式の手法の中でも,ジャストインタイム,自働化,多能工化を適用することが望ましい。