日経ものづくり タグチメソッド

商品企画七つ道具

第3回 発想の方法
アイデア出しにも技術がある
目的に応じて発想法を使い分け

神田 範明
成城大学 経済学部経営学科教授

商品企画七つ道具(以下P7)では,最初のステージである「調査」の段階において,顧客の客観的な評価に基づく定性的かつ定量的な商品像を明らかにする。そして,それに続くのが,そうした商品像に対し,さらに感動するようなアイデアを投入し,商品企画のレベルアップを図る「発想」の段階だ。 (本誌)

 前回は,P7の手法として「事前の仮説作り(STEP 0)」「インタビュー調査(STEP 1)」「アンケート調査(STEP 2)」「ポジショニング分析(STEP 3)」を取り上げ,顧客が感動するための重要要素,潜在ニーズの方向を求める方法を学んだ。今回は,その方向にさらに創造的な要素を盛り込むための「アイデア発想(STEP 4)」と「アイデア選択(STEP 5)」の方法を学ぶ。

ヒントを提供するのが発想法
 アイデア発想は商品企画はもちろんのこと,あらゆる業務で必要となる極めて重要な技術である。ものづくりの現場でも技術課題をどのようなアイデアで解決するか,日々求められる。
 市場調査でも単にルーチンワーク的な周知の方法ではなく,優れたアイデアによる調査方法を編み出せば,より説得力のある情報を提示できるようになる。データ解析でも同様である。営業では,どのように訪問し,どのようにプレゼンテーションするか,発想の良否が問われる。
 要するに,企業活動のあらゆる場面でグッド・アイデアが求められる。「発想レベルが貧困だ」とか「アイデアが不足している」などとよく言われるにもかかわらず,多くの企業人は「こんなものだろう」と思い込み,対策を講じない。また,一方では脳の活性化のためのグッズや飲食品,趣味やトレーニングにいそしむ人もいるかもしれないが,ビジネスや開発の実践上でどれほどの効果があるかは,甚だ疑問である。