日経ものづくり 詳報

廃PVCをPVCにマテリアル・リサイクル
再生材の特性はバージン材に匹敵

コベルコ・ビニループ・イーストが千葉県で再生工場を本格稼働

 コベルコ・ビニループ・イースト(本社東京)は,ポリ塩化ビニル(PVC)系の廃棄物を再原料化する千葉工場(千葉県富津市)を建設した(図)。この工場は,農業用ビニルシートなどPVC系廃棄物から純度の高いPVCを再生することができるマテリアル・リサイクル施設。国内で初めて「溶剤分離法」と呼ぶ技術を採用し,PVCの再生材に「バージン材に匹敵する」(同社社長の平井等氏)特性を持たせることに成功した。

再生材の純度はほぼ100%
 千葉工場では既にリサイクルを開始しているが,本格稼働は千葉県から「産業廃棄物処分業許可証」が公布される2006年5月末以降の見通しだ。
 同工場におけるPVCの再生プロセスは,ベルギーの大手化学メーカーであるSolvay社が開発したPVC再生技術「Vinyloop」を導入したもので,「前処理」「溶解」「沈殿」「溶剤回収」の4工程から成る。例えば使用済み農業用ビニルシートの場合には,次のような手順で再生される。
 まず前処理工程で,使用済み農業用ビニルシートを10cm角ほどに切断し,付着している泥や砂などを水で洗い落とす。続いて,破砕機で数mm角に細かくしてからミキサに送り,直径数mmの粉粒状にする。

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図●PVC系廃棄物を再生するコベルコ・ビニループ・イーストの千葉工場
手前から事務所,製品サイロで,最も奥に見えるのがPVCの再生プロセス。