日経ものづくり 詳報

ものづくりの強化に走るホンダ
埼玉と米国に年産20万台の新工場

2010年に生産能力を450万台超へ

 ホンダが新しい工場を日本と北米に設置する。日本と米国に自動車の完成車工場を,カナダに自動車のエンジン工場を設ける。「競争力の源泉である,ものづくりの現場・源流を強化する」(同社社長の福井威夫氏)ことで,業績をさらに伸ばす狙い(図)。
 日本の新工場の設置場所は埼玉県大里郡寄居町。同社は700億円を投じ,80万m2の敷地に「寄居工場」を建設する。2010年初頭の稼働を見込んでいる。
 寄居工場では,エンジンの生産から,ボディ鋼板のプレス,溶接,樹脂製部品の射出成形,完成車の組み立てまでを一気通貫で行う。年間生産能力は20万台。立ち上げ時に2200人を配置する。約35km離れた場所にある狭山工場や,三重県の鈴鹿工場と同じく,品質と効率に優れる生産システムを構築し,海外の工場に横展開する「マザー工場」の役目も負う。
 現在,日本における同社の年間生産能力は,狭山工場が約52万台,鈴鹿工場が約54万台,八千代工業の四日市工場が約24万台で,合計約130万台。寄居工場が立ち上がれば,これが150万台まで向上する。
 寄居工場が稼働した後には,同社は狭山工場の生産ラインを作り直す。「これまで既存の生産ラインの改修で対応してきたが,コストや品質をこれ以上向上させるには限界がある。設備投資費用が一時的に増えても新しい生産ラインにした方が,コスト削減効果は潜在的に大きい」(同社)。

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図●ホンダ社長の福井威夫氏
ものづくりの強化を狙い,日本と北米で新工場の立ち上げを決めた。