日経ものづくり 事故は語る

二度爆発したRDF貯蔵サイロ
責任をなすり合う行政とメーカー

2003年8月14日,三重県にあるごみ固形燃料(RDF)発電所で RDFを貯蔵するためのサイロが爆発。作業員4人が負傷した。 放水による消火作業のかいなく,同月19日には二度目の爆発が発生。 消防隊員2人が死亡,作業員1人が負傷する大惨事となった。

 事故が起きたのは,三重県多度町の「三重ごみ固形燃料発電所」。同県では,一般ごみをエネルギ源として活用する「三重県RDF化構想」の下,県内7カ所でRDF化施設が稼働している。
 前出の発電所では,これらの施設で製造されたRDFを焼却することで,発電に必要な蒸気エネルギを得ていた。発電所の敷地内には,施設から送られてきたRDFを貯蔵しておくサイロがあり,サイロからボイラにRDFを供給する(図)。このサイロが爆発した。
 同県が設置した「ごみ固形燃料発電所事故調査専門委員会」(以下,事故調査専門委員会)の報告書によれば,サイロ内ではRDFが爆発の直前まで約3週間にわたって発熱・発火していた。この過程で,サイロ内には可燃性のガスが充満。爆発限界に到達した可燃性ガスが,RDFを火元として爆発したと考えられている。
 その後,放水によってサイロ内の温度を下げようとしたが,実際にはサイロ内に可燃性ガスが再び充満し,同様のメカニズムで二度目の爆発に至った可能性が高い。
 二度目の爆発の後もサイロは燃え続けた。桑名市消防署が「鎮火宣言」をしたのは,爆発から1カ月以上後の2003年9月27日である。

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図●RDF発電所の概要
RDF燃焼時に発生する蒸気の圧力でタービンを回す。 (出典:経済産業省原子力安全・保安院電力安全小委員会「ごみ固形燃料発電所事故調査ワーキンググループ報告書」)