日経ものづくり トヨタ生産方式の真髄と新展開

第5回

自働化を実現する方策と標準作業

村山 明
中部産業連盟 東京本部 
主席コンサルタント

自働化を実現するためには,まず監督者,作業者に対する教育が欠かせない。その上でポカヨケの仕組みを構築したり,目で見る管理の仕組みを取り入れたりすることが必要となる。一方,作業者のムダを極力取り除くためには,標準作業の設定が鍵を握る。標準作業は改善のツールとするべきである。(本誌)


 引き続きトヨタ生産方式を実現するための具体的な方策・手法について解説する。今回取り上げる項目はポカヨケや目で見る管理道具などの自働化を実現するための方策と標準作業である。

自働化には教育・訓練が必須
 トヨタ生産方式の2本柱の一つである「自働化」に関しては,その考え方・思想を本誌2月号で解説した。今回は自働化を実現するための方策について説明する。
 自働化を実現するためには,ラインを止める仕組みを構築しなくてはならない。具体的には,ラインで異常が発生したら監督者を呼ぶかまたはラインを止めるようにと,監督者が作業者に対して徹底して教育することだ。異常とは「品質不良」「標準作業からのズレ」である。
 工場内に「異常処置体系図」が掲示されているのをよく見掛ける。異常処置体系図により,異常が発生した場合,誰に連絡するのか,どのような処置をするかなどを明確にしているわけだ。
 しかし,その工場の実態はというと,不良が減らなければ生産性も向上しない。何が原因かと考えてみると,異常処置体系図が絵に描いたもちになっていて,書かれていることが実行されていないのである。現場を見ると,自働化に倣ってラインは止めるが,不良品はラインサイドに山積みにされたまま。是正処置行動を起こして再発防止を図らない限り,何ら効果は上がらない。