日経ものづくり キラリ輝く中小企業

山陽プレス工業

絞り成形の山陽プレス工業
ドライ加工で一歩先を行く

 山陽プレス工業は,デジタルカメラや携帯電話機,MD/CDプレーヤーなどの外装ボディを中心に精密金型設計とプレス加工を生業とする。中でも得意なのが,難加工の一つとされる絞り成形である。
 絞り成形とは,板材をダイの上に載せ,上からパンチで押し付けて成形する塑性加工の一種。1枚の板材から造るので,溶接構造などに比べてコストや品質面で有利となる。半面,成形時に板材の流入が強く制限されると割れが入ったり,逆に板材の拘束が不十分だとしわが生じたりする。ここが「加工上のノウハウ。絞った際に材料にどんな変化が生じるか,上下面の厚さと側面の厚さの比率はどのくらいが適切か。こうしたことを即座に把握できなければ,この仕事で食べていくことはできない」と,同社社長の檜垣昌子氏は自信を見せる。中国をはじめ外国勢の台頭が著しいプレス加工業界にあって,こうしたノウハウがあるからこそ複雑な絞り成形ではいまだに国内の企業が強みを発揮しているのだ。
 同社の技術を支えるのは,長年かけて蓄積した膨大な加工記録。それをCADの中に取り込み,設計や加工時にシミュレーションできるようにしている。「ひところ,この仕事に見合うCAEソフトを探したが,適当なものが見つからなかった。今では機会さえあれば,当社のものを商品化したいと思っている」(同氏)ほど,加工に関するノウハウは質,量共に充実している。

日経ものづくり キラリ輝く中小企業
●各種外装パネル


江南特殊産業

電鋳金型の江南特殊産業
内装部品のコスト減に貢献

 インパネなど,自動車内装部品用の金型製作に用いる電気鋳造(電鋳)技術で世界の自動車メーカーから注目されているのが江南特殊産業である。電鋳とは製品モデルに3~5mm程度の電気めっきを施し,これをはがして表面の質感を忠実に再現した型を取る技術。モデルを取り除いた金属反転殻を電鋳殻といい,そのまま金型として用いることもあり,裏側を補強するなどして使うこともある。「現物からの金属型への置き換えには精密鋳造,エッチング,倣い加工,放電加工などがあるが,表面の質感を精度良く転写するのに電鋳にかなうものはない」と同社社長の野田泰義氏は語る。

日経ものづくり キラリ輝く中小企業
●「ポーラス電鋳」による試作用金型