日経ものづくり 詳報

MM型モータとセラミックスボール支持で
1/4に小型化した手ぶれ補正機構

キヤノン,「IXY DIGITAL 800 IS」に採用

 キヤノンは,体積が従来比1/4という小型の手ぶれ補正機構を開発した。2006年3月7日に発表,4月中旬に発売するデジタルカメラ「IXY DIGITAL 800 IS」に採用する(図)。手ぶれ補正機構を組み込んだレンズの光軸方向の長さ(厚み)を,従来からある「Power Shot S2 IS」用手ぶれ補正機構の10.3mmから5.3mmへ短縮,体積を5.1cm3から1.2cm3に小型化した。
 5群構成のレンズのうち第2群を支持するホルダを,鏡胴に固定したベースに対して光軸と直交する方向に動かし,これをシフトレンズとする。これで,露光時間を約8倍(目盛りで3刻み分)に長くしても同じ画質を得られるだけの手ぶれ補正効果がある。
 ベースにホルダを支持・案内する機構として,現在は直交2軸のガイドバーを使う方式が主流で,松下電器産業,ソニー,コニカミノルタなど多くのメーカーが採用してきた。これに対してキヤノンは以前からボールで支持・案内する方式を採っていた。滑り案内より転がり案内の方が静止摩擦係数が小さく,微小な動きを妨げないことを評価した結果だ。また,ガイドバーでは,抵抗なく動かすために必ず一定のすき間が必要であり,ガタや倒れをなくせないことも問題だという。転がり案内ならば,ばねで予圧をかけることによってすき間をなくすことができ,ガタも倒れもない。ただし,従来はボールがステンレス鋼製だった。

日経ものづくり 詳報
図●「IXY DIGITAL 800 IS」の内部