日経オートモーティブ 連載

事例に見るPLM活用・第2回

データ試作で作り込み
10.5カ月の短期開発

自動車の開発期間および開発コスト低減のためには、3次元データの有効活用とデータ活用を前提とした業務の仕組みづくりが必要だ。日産車体はこの二つを着実に実践することで、「ノート」や「ウイングロード」の開発を10.5カ月という短期間で成し遂げた。

日産車体
IT推進部長
中島 完治


 当社は日産自動車の委託メーカーとして日産ブランド30数車種のうち、RV車やミニバンを中心に12車種の開発、生産を手掛けている。具体的にはミニバンの「エルグランド」や「セレナ」、RV車の「Infiniti FX45」、ワゴンの「ウイングロード」などだ(図1)。これらは、パワートレーンユニットの開発と生産、および車両の販売は日産自動車が行い、当社が車両の開発と生産、品質保証までを担当する。
 また、Bプラットフォーム車のアッパーボディの開発を受託しており、「キューブ」や「キューブキュービック」「ノート」の開発を担当した。この場合、プラットフォーム開発と生産は日産自動車が行っている。
 こうした中で当社は、従来開発過程で行っていた試作を廃止し、デジタルデータによる試作に切り替え、量産型による工場試作のみで新車を開発する「試作廃止プロセス」に取り組んだ。その成果として、ノートおよびウイングロードにおいて、デザイン完了から量産まで10.5カ月の短期開発を日産自動車とともに実現した。

日経オートモーティブ 連載
図●日産車体の主要製品
日産ブランド30数車種の中で、(a)「エルグランド」、(b)「セレナ」、(c)「ウイングロード」など12車種の開発、生産を担当している。