日経オートモーティブ 新車レポート

Toyota CAMRY
デザインを一新し
衝突安全性も高める

 トヨタ自動車が2006年1月末、中型セダン「カムリ」を全面改良した(図)。スポーティーなデザインを取り入れたことで顧客の若返りを目指すとともに、ボディ構造の強化とサイド/カーテンエアバッグの標準装備で衝突安全性を高めた。既存のプラットフォームを使いながらも、トレッドとホイールベースの拡大で乗り心地の改善も図った。

 トヨタの「カムリ」は世界戦略車だ。2006年夏までに、米国、中国、台湾、ベトナム、オーストラリア、タイと相次いで生産を開始し、世界各地に販売地域を広げる。このうちタイ工場は新設で2006年8月に稼動する予定。これまでのフィリピンとマレーシアの工場を移管する。2007年にはロシアの工場でも生産を始める。
 メイン市場となる米国の販売台数は年間40万台に上り、乗用車部門では1位。その一方で同社が米国の中型セダンユーザーに聞き取り調査したところ、カムリの欠点が明確になったという。「ユーザーはカムリというブランドの信頼性、居住性には満足している。しかし、ときめきがない、つまらない、誇りが持てない、などの指摘が多かった。売れているクルマの方向性を変えるのはリスクがあったが、より高いポジションに到達するためには避けて通れなかった」(商品開発本部第1トヨタセンターチーフエンジニアの布施健一郎氏)。
 ユーザーの年齢層の若返りも必要だった。米国では平均が55歳。国内でも50歳以上になっている。国内では「クラウン」のプラットフォームを使った中型セダン「マーク?U」が年齢層の若返りを狙って2004年11月にデザインを一新して「マークX」となったのが記憶に新しい。カムリも新たな顧客層の開拓のために、デザインを一新する必要があった。
 新型カムリの全長は従来と同じだが、ホイールベースを55mm拡大して前後席の間隔を広げた。ホイールベースは55mm増やしたが、そのうちの30mmだけを前後席に割り当てた。残りの25mm分でリアウインドーを傾けてスポーティーさを表現した。

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図●「カムリ」
これまでのブランドの信頼性や居住性を継承しつつも、スポーティーなデザインを採用した。