日経オートモーティブ 新車レポート

Honda ZEST / Suzuki MR-WAGON
家族向けと女性向け
互いの得意分野に攻め込む

ホンダとスズキは相次いで新型軽乗用車
「ゼスト」「MRワゴン」を発売した(図)。
家族向けを狙うゼスト、子供を持つ女性向けの
MRワゴンとユーザー層は異なるが、
どちらも、膨張・細分化する軽乗用車市場で、
これまでカバーしきれなかった層を
狙っていることでは一致する。


 ホンダのゼストは競合車種としてスズキの「ワゴンR」やダイハツ工業の「ムーヴ」を、一方、スズキのMRワゴンはホンダの「ライフ」やダイハツの「ムーヴ ラテ」「タント」を挙げている。ホンダとスズキは、ゼストとMRワゴンでお互いの得意分野に攻め込む格好だ。
 背高ワゴン車としてライフと「ザッツ」を持つホンダが、あえてゼストを発売したのは「男性にも受け入れられるクルマ」という狙いがあったためだ。ライフはどうしても女性向け、というイメージが強く、またザッツは個性的な外観で、広い支持が得にくかった。ホンダによれば軽乗用車を保有する男女比率は男性3割、女性7割で、一見「女性のためのクルマ」という感じだが、実際の使用形態としては男女兼用が半数以上あり、クルマ選びに男性の意見も重要になっていることが分かったという。

軽乗用車がファミリーカーに
 「軽乗用車が、これまでの“妻中心のパーソナルカー”から“家族のプチ・ファミリーカー”に変化している」(ホンダ広報部)。週末の家族の利用でも、50km圏内や1時間程度の移動なら、軽乗用車を利用する例が増えているという。こうしたことから、「女性を中心にしたパーソナルユースがメイン」のライフではカバーしきれない「家族で使う」ことの多い層向けに、ゼストを開発することにした。
 このためゼストは、男性も含めた幅広いユーザーに受け入れられるクルマを目指した。全高をライフの1580mmから、競合車となるワゴンRやムーヴ並みの1635mmに上げる(ワゴンRは1645mm、ムーヴは1630mm)とともに、全体に角張ったデザインにしてウエストラインも高い位置に置くなど、ボリューム感を出して男性が乗っても違和感がないようにした。

日経オートモーティブ 新車レポート
図●ホンダの「ゼスト」(a)とスズキの新型「MRワゴン」(b)
ゼストは、男性でも抵抗なく乗れるようにライフと異なる厚み感を持たせたデザインとした。一方の新型MRワゴンは、丸みを帯びた親しみやすいデザインとして主婦層の支持を狙う。