日経オートモーティブ 新車レポート

Mitsubishi i
リア・ミッドシップが生み出す
革新のデザインと安全性

三菱自動車が2006年1月に発売した「i」は、
ミッドシップレイアウトを
採用することで個性的なデザインと
高い安全性を実現した革新的な軽乗用車だ。
開発のスタートは2000年の秋。
紆余曲折を経ながらも、
なんとか発売にこぎ着けた。


 軽自動車の膨張が止まらない。2005年に0.9%のマイナス成長を記録した登録車を尻目に、軽自動車の販売台数は1.7%の伸びを示し、過去最高を記録した。自動車全体に占める割合は約33%に達し、いまや、新車の3台に1台は軽自動車という状態だ。
 いきおい商品も多様化し、低価格の商品から多用途性を売り物にしたタイプまで、さまざまなモデルが登場している。この激戦市場に、リア・ミッドシップ・レイアウトという斬新なプラットフォームを採用して割り込んだのが三菱自動車の新型軽乗用車「i」だ。エンジンを後席と後車軸の間に配置するリア・ミッドシップ・レイアウトの採用により、居住性を犠牲にすることなく、繭のような形状の個性的なデザインと安全性を両立することに成功した。

ミッドシップレイアウトのi
 iの開発がスタートしたのは2000年秋。2005年秋から2006年春ごろにかけて発売する新コンセプトの軽乗用車を開発するプロジェクトが発端だった。三菱自動車は、販売台数に占める軽自動車の割合が65%(軽商用車含む)と高い。しかし軽乗用車市場は当時でも「さまざまな種類の商品が出尽くしている状況だった」(同社軽商品開発プロジェクト プロジェクトマネージャーの岩男明信氏)。

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図●リア・ミッドシップ・レイアウトが実現した「i」のデザイン
(a)フロント、リアのオーバーハングが極端に短いサイドビュー、(b)大きなフロントウインドーと短いフロントフード、(c)丸みを帯びたリアビュー。