日経オートモーティブ 技術レポート

Lexus「LS460」の安全技術
ステレオカメラで歩行者を検知
衝突回避システムを初搭載

 トヨタ自動車は、2006年2月末に開催された第76回ジュネーブ・モーターショーで、Lexus「LS460」に搭載する安全技術を発表した(図)。ステレオカメラで昼夜を問わず歩行者検知を可能にして安全性を高めたのが特徴だ。

 LS460は先進的な四つのセーフティシステムを備える。進化した障害物検知システムと緊急時のステアリング支援システム、リア・プリクラッシュ・セーフティ・システム、そしてドライバーの顔向検知システムである。
 進化した障害物検知システム「Advanced Obstacle Detection System」は、ステレオカメラとミリ波レーダで障害物を検知するシステム。ミリ波レーダでは、電波が人間を透過してしまうことから人間を障害物として検出できなかった。ステレオカメラを併用することでクルマから人間まで幅広く検知することが可能になった。
 同システムは昼夜を問わずクルマや歩行者を検出できるのが特徴。従来実用化していた「ナイトビュー」は、赤外線カメラで夜間の視界を提供するだけで、歩行者の認識機能はなかった。
 緊急時のステアリング支援システム「Emergency Steering Assist」は、ステレオカメラとミリ波レーダで障害物に衝突する可能性が高いと判断すると、アクティブステア「VGRS」でドライバーのステアリング操作に対するタイヤの切れ角を増やして回避動作を支援する。
 といってもステアリング操作の支援量についてはドライバーが予想する以上にステアリングが切れ過ぎないようにした。「このシステムは通常時よりも早いタイミングで車線を変更するためのもの。ステアリングを切り過ぎると反対の車線に出てしまうなどの危険もある。このため横の移動距離にはある程度の目標を設けた」(開発責任者の吉田守孝氏)。

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図●Lexus LS460
同社として初めてステレオカメラを搭載したほか、ミリ波レーダをリアにも備えた。