日経ものづくり 設計者のための解析入門

第3回 境界条件を使い分ける(1)

ボルトか接着か
答えを想定し固定条件を決める

メッシュを生成したら,次はモデルに境界条件を設定しなくてはならない。どこをどう支持し,どこにどれくらいの負荷がかかるのかという条件の定義だ。似たような設定でも,ちょっとした違いで解析結果が大きく変わってくるため,使い分けのポイントを知っておこう。(本誌)

西浦光一
積水化学工業 環境・ライフラインカンパニー 京都研究所 ESSプロジェクト

 一般に設計者が使用する頻度の高い解析には,強度剛性解析,熱解析,固有値解析が挙げられる。境界条件の設定に関して言えば,それぞれ設定の際のポイントが異なるが,今回は,最も設計者になじみ深いと思われる強度剛性解析に的を絞り,解析対象物にどのような境界条件を設定したら,どういう答えになるのか,その影響について見てみる。
 まずここで,あらためて境界条件とは何なのかを考えてみよう。境界条件を設定するとは,簡単に言えば解析しようとする設計対象物が,どのような環境に置かれているかを想定し,その場合に受けるはずの外的要因を定義することである。
 もっと平たく言えば,構造物をボルト留めするのか,溶接で固定するのか,あるいは,はめ込みで支持するのか,そして,どこにどんな力を加えるのか,引っ張るのか押し込むのかといった状態を定義することだ。解析対象物の形状や物性は同じでも,置かれている状態の違いによって,解析対象物に作用する見掛け上の強度や剛性は大きく異なってくる。

日経ものづくり
図●継ぎ手
モデルの拘束条件

右側の平面を固定し,左端に上から下に向かって荷重をかけた。