日経ものづくり 中国的低価格部品選定指南

新シリーズ
第3回
コストの聖域から出るコネクタ
9割以上安い中国製品

品質の観点から中国製への切り替えが難しいといわれてきたコネクタ。ところが今,それを中国から調達する例が増えている。魅力は価格の安さ。日本メーカー製の1割以下という例も珍しくない。ただし,しかるべき作業は必要だ。(本誌)

遠藤 健治 海外進出コンサルタント


 電機関係の開発に携わる技術者には「聖域」とされる部品が幾つかあります。そのゆえんは,品質面で問題を起こしやすいことにあります。中でも,最も慎重な扱いを余儀なくされる部品の一つがコネクタです。
 電子部品のコストを見てみると,抵抗やコンデンサは1個当たり10銭からせいぜい数円程度。CPUのように製品の機能の中核となるほど高付加価値のものや,よほど特殊なものではない限り,それほど高コストの部品はありません。ところが,そうした電子部品にあってコストの高さが際立つのがコネクタなのです。ちょっとした部品でも,数十円や数百円という価格を付けたものが珍しくありません。

新しいコネクタは歓迎か反対か
 聖域に置かれる電子部品の代表格であるコネクタは,これまで多くの技術者がコスト削減の対象から除外してきました。しかし,コスト削減要求が厳しくなると,そうはいきません。事実,現在,安価なコネクタを中国から調達するメーカーが増えているのです。
 コネクタが聖域に置かれるのは,多くのメーカーが大なり小なりコネクタで苦労した経験を持っているからです。
 今から10年ほど前,私が所属していた日本の大手電機メーカーと日本のコネクタメーカーであるC社が資本提携することになりました。当時,私が属していた開発部門ではC社とは別の日本メーカー4社からコネクタを調達して使用中。これら4社は品質面で高い信頼があり,私たち技術者はカタログを見て型番を選ぶだけで,その後,問題が起きることはありませんでした。しかし,会社が資本提携するとなれば,トップからC社のコネクタを優先的に使う指示が出ることは明らかです。

日経ものづくり 中国的低価格部品選定指南