日経ものづくり 詳報

脱横並びに突き進む家電
省エネや節水に新たなアプローチ

エアコンや洗濯乾燥機に“新種”登場

 近年目立ってきているのが,既成概念を打ち破る“新種”の家電製品。シャープが2004年夏に発売したスチームオーブン「ヘルシオ」がその代表格だ。ヘルシオは2万台/年でヒットとされるオーブンレンジ市場で,10万台/年を超える販売を達成した。
 そして,これに続けとばかりに登場してきたのが,“新種”のエアコンとドラム式洗濯乾燥機だ。まるで航空機や新幹線の車両の設計のように空気力学(空力)の観点から設計を根本的に見直し,省エネルギ化を徹底したエアコン。さらには,最終すすぎに使った水を再利用できるようにしたドラム式洗濯乾燥機だ。

吹き出し口の形状を見直す
 省エネを徹底するために空力を取り入れたのは,シャープの新型エアコン「SX/SVシリーズ」(図)。省エネという観点で空力を強く意識するのは,エアコンとしては初という。
 同社によれば,エアコンの世界ではこれまで,コンプレッサと熱交換器の進化で省エネを進めていた。しかし「そうしたアプローチはもはや限界。より一層の省エネを進めるには別のアプローチが必要だった」(同社)。
 そこで,同社が目を付けたのが空力だ。吹き出し口の形状を空力の観点から見直し,出力4kWクラスのものでは業界トップという省エネ(期間消費電力1336kWh)を実現した。

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図●シャープの新型エアコン「SX/SVシリーズ」
空力の観点から吹き出し口の設計を見直し,高い省エネルギ性を実現した。従来の薄型エアコンと異なり,奥行き方向に厚みを持った外観がもう一つの特徴。なるべく目立たないデザインとしていた従来のエアコンと違い,側面パネルから正面パネルにかけて一体感を持った曲面形状を取り入れたり,木目調やセラミックス調のフィルムを張ったりすることで,インテリアとして存在感のあるデザインを追求した。