日立ハイブリッドネットワークは,レーザ光の量子力学的効果を用いた「Y-00」と呼ぶ方式の量子暗号通信の送信機と受信機を実用化する。日本で量子暗号を利用した機器が実用化されるのは,これが初めてとなる。最大伝送速度が2.5Gビット/秒と,量子暗号としては非常に速いのが特徴で,政府系機関や通信事業者,大手企業の基幹ネットワークでの利用を想定する。同社は,2006年4月にも同システムの受注販売を開始する予定。販売価格は「送信機と受信機のセットで,1000万円より安くしたい」(同社)。この価格帯は,通信事業者向けの通信機器としては特別高くはない。

 玉川大学と共同で開発した送信機と受信機は,ルータなど一般の通信機器とほぼ同じ大きさで,特別な冷却機を用いずに常温で動作する。いずれも個別部品で作製したもので「回路をICに集積すれば,機器を手のひら大に小型化でき,機器コストも安くできる。家庭向けの光ファイバ回線で利用することも可能だ」(同社)。