「特許権の正当な行使を認めた妥当な判決」(谷・阿部 特許事務所 弁理士の谷義一氏)──。知的財産高等裁判所(知財高裁)がキヤノンの逆転勝訴となる判決を下した「インク・カートリッジ事件」を,識者の多くは妥当な判決とみる。

 この事件は,キヤノン製のインク・カートリッジの使用済み品にインクを再充填したものを中国企業から輸入し,販売するリサイクル・アシストによる特許権侵害の有無をめぐる訴訟である。2004年12月に東京地方裁判所は,リサイクル・アシストによる特許権侵害はないとする判決を下したが,それを不服としたキヤノンは東京高等裁判所に控訴していた。控訴審で知財高裁は,リサイクル・アシストによる特許権の侵害を認める判決を2006年1月31日に下した。