日経ものづくり キラリ輝く中小企業

昭洋精機

アルミ部品加工の昭洋精機
実績管理でカイゼン強化

 昭洋精機は,アルミニウム合金に特化した精密部品加工を本業とする一方,副業として自社製品の「ディスク修復機」を製造販売するユニークな企業である。この10年間,本業と副業の比率は7対3~8対2の割合で推移している。
 同社は,アルミ合金メーカーの機械技術者であった佐藤貴氏が脱サラして1969年に起こした会社。設立以来,機械部品加工で着実に業績を伸ばしてきたが,1991年に至り突然,不振に陥った。バブルが崩壊し,主力のコンピュータ関連部品の受注が前期に比べて20%も落ち込んだのだ。
 そこで本業の不振をカバーするために,自社製品の開発に踏み切った。本社工場での部品加工の仕事は工場長に任せ,佐藤氏自身は社員2人を連れて埼玉県狭山市の開発室にこもって開発に没頭したのである。
 それから3年後「ディスク修復機」が完成した。CDやDVDなどのディスクは読み取り面にキズが付くと,音飛びを起こしたり,再生できなくなったりする。そこで,本業で培った切削加工技術を生かし,バフロール(不織布)を回転させながら読み取り面を磨く(削る)機械を開発したのだ。

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●自社製品の「ディスク修復機」
製造は外部に委託している。写真の製品は全自動の業務用タイプで,手動や半自動などの製品も用意している。


ダイニチ

微細穴加工のダイニチ
無理な要求に応えて成長

 ダイニチは,機械による金属微細穴加工に徹底したこだわりを持つ。微細な穴開けというと,一般にはレーザ加工をイメージする人も多いだろうが,同社の場合は主にドリルを使用する。
 「レーザを使うと,開けた部分の表面が溶けてギザギザになる。しかも熱により材質が変化しやすく,航空機や医療機械といった高い信頼性が求められる分野の部品加工には適さない」と同社社長の下村尚之氏は言う。しかしドリルなら,この種の問題はない。金属であれば,素材も選ばない。
 こうしたドリル加工の特徴を生かしつつ,同社は1個のオーダーから請け負うきめ細かな対応によりユーザーを次々と獲得。その数,現在800社を超える。そして,今でも毎月5~6社程度の割合で増え続けているという。

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●卓上旋盤を使った作業光景
ステンレス素材に直径0.72mm,長さ14mmの穴加工を施している。