日経ものづくり 設計者のための解析入門

第2回 精度はメッシュで決まる

大きさと粗密分布を工夫し
短時間で良い結果を得る

初心者が最初に戸惑うのが,CAEに特有のメッシュ分割。設定の仕方次第で解析結果の精度を左右する重要な要素だ。自動生成するツールが増えたとはいえ,ツール任せでは思うような結果が得られない場合もある。メッシュの影響と設定の際に気を付けるべき最低限のポイントは押さえておきたい。(本誌)

西浦光一
積水化学工業 環境・ライフラインカンパニー 京都研究所 ESSプロジェクト

 CAEで広く用いられる有限要素法や有限体積法で構造解析や流体解析を行うには,何らかの方法で解析対象をメッシュ分割しなくてはならない。解析対象の形状を,コンピュータで計算できるように形状が単純で小さな要素の集合として表すのである(図)。
 このメッシュ生成が初心者にとって最初で最大の難関といってよい。昨今は自動生成(オートメッシュ)機能が進化し,ツール任せにできる場合も増えたが,メッシュの良否が計算結果を左右するので,その基本と勘どころをぜひ押さえておきたい。
 そもそも,メッシュと一口にいっても,さまざまな種類がある。2次元のシェルメッシュ,3次元のソリッドメッシュのほか,1次元のビーム要素や剛体バー要素もある*1。さらに,シェルやソリッドの中にも,異なるさまざまな種類のものがある。ここでは,設計者が一般的に使うCAEツールで生成できるメッシュに限って議論を進めることにする。

日経ものづくり
図●解析に必要なメッシュ
4面体要素でメッシュ分割したフック形状の3次元モデル。平均的な要素の長さを6mmに設定してメッシュ分割した。要素数は約2万6700。