地上デジタル放送で提供されるハイビジョン番組のコピー制御をめぐって,放送事業者と機器メーカーの間の議論が白熱している。「1世代のみコピー可」とするコピー制御信号をBS/地上デジタル放送波に多重し始めた2004年4月以来,録画は可能だがその録画データの複製は許可しない,いわゆる「コピー・ワンス」の放送が続いている。そのコピー・ワンスの運用の見直しに関して,放送事業者と機器メーカーの間の考え方の違いが鮮明になった。

 見直しに着手するキッカケとなったのは,2005年7月に総務省の情報通信審議会が提出した「平成16年 諮問第8号 第2次中間答申」である。「著作権保護の現在の運用を固定化する必然性はなく,私的利用の範囲で,視聴者の利便性を考慮して運用の改善に関係者一体となって対応していくことが必要であり,この点について,放送事業者をはじめ関係者の間で基本的な理解の相違はないのではないか」とまとめ,2005年内に結論を得るよう努めることを望むとした。