第1部<問題の本質>
低価格要求が迫る事業改革
「百貨店」より「専門店」

 「半導体業界で雪崩を打って始まった専門店型の事業モデルへの移行と,これに伴う業界再編。多額の設備投資や人員削減といった「痛み」を避けられないこうした決断に各社を駆り立てるのは,半導体メーカーを取り巻く状況の急速な変化である。半導体需要を牽引してきたデジタル民生機器市場のさらなる拡大と,民生機器メーカー間で起こっている激烈な価格競争が,部品を供給する半導体メーカーにコスト競争力のあくなき強化という厳しい要求を突き付けているのだ。

第2部<復活の処方箋>
垂直統合型体制を解体し
高コスト体質と決別

 多様な製品群を取りそろえ,それらの設計や製造を自社で手掛ける。NECエレクトロニクスやルネサス テクノロジ,東芝,富士通,ドイツInfineon Technologies AGなど,多くの中規模半導体メーカーが採用してきた百貨店型の事業モデルが,解体と再編に向かって動き始めた。解体の方向は大きく2つある。第1に,垂直統合を保ったまま特定の製品事業を専業メーカーとして外部に切り出す方向である。

第3部<技術者座談会>
国内半導体メーカーが
儲けられないわけ

 半導体メーカーの中堅技術者4人に国内半導体メーカーが直面している状況や打開策を議論してもらった。海外の半導体メーカーが単なる脅威にとどまらず国内メーカーの生存すら揺るがす存在になっている現状がみえる。そして,それを打開するには事業統合や吸収合併もやむを得ずと腹をくくる姿があった。各技術者の発言は所属する企業の見解ではない。そのため匿名の座談会とした。