日経ものづくり 詳報

作業者の置き換えを狙った腕ロボット
安川電機が2機種を新開発

“取りあえず”の市場投入で顧客の要望を拾う

 安川電機は,人間の腕の動きをほぼ再現できる産業用腕ロボット2機種を開発した。双腕の「MOTOMAN-DA20」と,片腕の「MOTOMAN-IA20」で,大きさは共に「成人男性とほぼ同じ」(同社)。生産ラインや物流現場などで組立・搬送作業をこなせる。
 DA20は,人間の上半身を模した構造物(胴体)に6自由度を持つ腕ロボットを2機装着したもの(図)。胴体も垂直軸回りの自由度を持つ。腕だけでなく全体の大きさも成人男性とほぼ同じ。「ロボットを導入するのに,生産ラインや物流現場のレイアウト変更が必要とあっては,受け入れてもらえないと考えた」(同社ロボティクスオートメーション事業部ロボット工場開発部部長の小川雅寛氏)。人が作業している空間に,ほとんどそのまま設置できる。状況に応じて,作業者とロボットを使い分けるという運用も想定している。
 双腕ロボットは,独立した腕ロボット2機を協調制御する場合よりも設置面積が小さくて済む。加えて,人間の腕に近い動き,上半身に近い構造を再現したことで,ワークを保持したり運搬したりする際の安定性も高いという。具体的な作業としては,ボルト締結や部品の組み付け・挿入などが可能。片腕で質量20kg,両腕で同40kgまでのワークを保持できる。

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図●双腕ロボット「MOTOMAN-DA20」
各腕で6自由度,胴体に相当する部分で1自由度,計13自由度を持つ。独立した腕ロボット2機を協調制御する場合よりも,設置面積が小さくて済むという。