日経ものづくり アイデアコーナー

ワークの衝突を防止するコンベヤ 【ジヤトコ】

シーソー機構の連続でワークを減速

 駆動装置を持たないローラーコンベヤは,わずかな傾斜を設けることによって,上流から下流に向かってワークを流す。コンベヤが長いほど下流に送られたワークが加速するため,場合によっては前に滞留しているワークに衝突した際に傷が生じる場合がある。
 そこで,長尺のローラコンベヤに代わり,短尺のそれ(以下シーソーモジュール)を連結した上で,各コンベヤの両端がシーソーのように互い違いに上下する機構を取り入れた。これによって,ワークが滑り下りる際にスピードが出過ぎるのを抑え,傷が付くのを防げる。
 各シーソーモジュールの上流側には,重りを設置。ワークが載っていない場合は,重りによって必ずモジュールの上面がほぼ水平を保つようにしてある。この状態のモジュールの最上流側のローラは,一つ前のモジュールの最下流側のローラよりも低い位置にあるため,上流側のモジュールから流れてきたワークがスムーズに乗り移る。移動してきたワークが慣性でさらに下流方向に移動すると,バランスが崩れ下流側が下がる。従って,次のモジュールにワークが載っていなければ,上述と同じ要領でワークはさらに次のシーソーモジュールに向かって滑っていく(図)。

日経ものづくり アイデアコーナー1
図●シーソー式コンベヤのサンプル
無負荷の場合は水平状態だが,ワークが流れてくると下流側が重くなって傾き,次のシーソーモジュールに移動する(a)。ワークが載った状態を手で押さえて再現したところ(b)。ワークが載ったモジュールは上流側が上がるため,次のワークが流れてきても乗り移れない。


工具の自動移動装置 【アイシン精機】

バランサの巻き上げを利用して工程間を移動

 組み立てライン上の連続する2工程(以下,工程1,2)の間で工具を共有する際,自動で移動させる装置。工程1の作業後に工具から手を離すと,工具は勝手に工程2の位置に移動する。工程2での作業が終わると,工具は再び工程1の位置に戻る。
 本装置は,二つの工程間で工具を8の字を描くようにして往復させるためのレール(レールA)と,工具をつり下げたスプリングバランサを左右に水平に移動させるためのレール(レールB)で構成する(図)。レールAは,二つの三角形のレールを頂点同士でつなぎ合わせて横にしたような形状。レールBには垂直方向に長いガイドを取り付け,その上端近傍にスプリングバランサを据えた。

日経ものづくり アイデアコーナー2
図●工程間の工具移動装置
スプリングバランサにつり下げた工具が,3角形のレールを二つつないだようなレールAに沿って8の字を描くように移動する。スプリングバランサはレールBに沿って水平移動する。


鉄くず回収装置 【ヤマハ発動機】

凝固した押し湯が左右交互に落下

 再利用のために,鋳造時の押し湯が凝固したもの(以下,押し湯)や加工で生じた切粉を集めるにあたり,回収箱の中で山状に堆積しないようにする装置を開発した(図)。
 大きな固まりである押し湯は,本装置上部の斜面を滑り降りて図の手前に見える押し湯用の回収箱に落下。切粉は,斜面の上流側に設けたくし状の粗いフィルタを通過して,奥にある切粉用の回収箱に落下する。さらに,押し湯が滑落する斜面にそれと直交する回転軸を設け,その回転軸に3枚の振り分け板を据えた。振り分け板のうち短尺の2枚は互いに直角に,長尺の1枚は2枚の短尺と135°の角度になるよう配してある。

日経ものづくり アイデアコーナー3
図●押し湯のならし装置
押し湯および切粉を投入すると,切粉はくし状のフィルタを通って下に落ち,押し湯は斜面を滑り落ちる。