日経オートモーティブ 連載

部品メーカーの中国進出・第1回

日系、外資、中国系で
異なる調達戦略

急激な成長に伴い、競争も激化する中国自動車市場。完成車メーカーの戦略、特に調達方針が、自動車部品メーカーのビジネスの成否を大きく左右する。今回は資本により異なる完成車メーカーの調達方針を探る。

住商アビーム自動車総合研究所
ストラテジスト 製造・技術統括
本條 聡


 中国自動車産業は、国内市場の著しい成長を背景に、世界の主要完成車メーカーが相次いで市場参入するなど、国際化の一途をたどっている。これに伴って、技術レベルも飛躍的に向上してきた。一方で、生産能力が需要を上回り、販売価格下落が止まらないために、市場からはより魅力ある新製品の投入を要求されている。こうした環境の下、国内外の完成車メーカーは、成長市場でのシェア確保を目指して、熾烈な競争を繰り広げている(図)。
 日系完成車メーカーの中国市場参入に伴い、多くの日系自動車部品メーカーも中国に進出している。しかし絶えず変化する中国自動車市場において、今後の事業戦略の策定に苦慮する部品メーカーも少なくない。そこでこの連載では、2回にわたって中国完成車メーカーの部品調達の現状と将来の方向を分析し、自動車部品メーカーの勝ち残りに必要な条件を提示する。前半となる今回は、まず中国自動車産業の現状や主要完成車メーカーの調達方針について分析し、日系自動車部品メーカーに求められる機能・条件について提案する。
 弊社は、アビームコンサルティング、北京オートビジョン社および中国汽車工業経済技術信息研究所の協力を得て、2004年末に中国で乗用車を生産している主要完成車メーカー30社の購買担当者を対象に、ヒアリングとアンケートによる調査を実施した。その調査結果にも触れながら説明したい。

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図●中国市場での完成車メーカー間の競争は熾烈さを増している
トヨタ自動車が中国市場に投入した鋭志(日本名:Mark X、2005上海モーターショーで)