日経オートモーティブ イベントレポート

Automotive Technology Days 2005 autumn
クルマの電子制御に
欠かせない標準化

日経Automotive Technologyと電子技術者向けの専門誌である日経エレクトロニクスは共同で、自動車技術の総合セミナー「Automotive Technology Days 2005 autumn」(2005年10月24~25日、幕張プリンスホテル)を開催した。七つの専門トラックで複雑化するクルマの電子化にいかに対応するかを議論した。

 基調講演を担当したのがトヨタ自動車常務役員の重松崇氏。同氏は、クルマの電子化が加速する中で、自動車業界としてソフトウエアプラットフォームを標準化する必要があると訴えかけた。ソフトウエア開発の効率化は各社が進めているものの、異なる企業間での標準化は進んでいない。重松氏は、ドイツの自動車メーカーを中心とする標準化団体「AUTOSAR」や日本発の標準化団体「JasPar」とも連携をとりながら標準化作業に協力していきたいとの方針を示した。

ECUの数を減らす
 基調講演の後のパネルディスカッションでは「加速化する電子化、複雑化するソフトウエアにどう対応するか」をテーマに、完成車メーカー、電機メーカー、半導体メーカーがそれぞれの立場から意見を述べた。
 トヨタ自動車の統合システム開発部第1開発室長である谷川浩氏は、ソフトウエア開発の工数を減らすために、現在の垂直統合から水平統合に開発組織を組み換えていく必要があるとの見方を示した。CPUやOS、ミドルウエア、アプリケーションなどを各社で分担して開発することで作業を効率化できるとした。
 日立製作所オートモティブシステムグループ主管技師長の高橋義明氏は増え続けるクルマのECUに対して、自律分散制御するシステムの開発に力を入れるとの方針を示した。ステアリングやアクセル、ブレーキなど、全体のシステムを制御する「車両運動統合コントローラ」の取り組みを紹介した。
 フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンでオートモーティブ担当ジェネラルマネージャーの関口義雄氏は、自動車の電子化に伴い、米Motorola社から引き継いだ半導体の開発リソースを今後一層自動車向けに配置していきたいとの意向を示した。
 同じく半導体メーカーであるルネサステクノロジの馬場志朗氏は、自動車の電子制御化に伴って半導体の演算処理能力の強化が求められていることに触れ、半導体産業には追い風になっているとの認識を示した。

日経オートモーティブ イベントレポート
図●講演するトヨタ自動車 常務役員の重松崇氏