日経オートモーティブ 新車レポート

TOYOTA Ractis/Belta
よりスポーティに、より低く
コンパクトカーの新提案

初代「ヴィッツ」(トヨタ自動車)のBプラットフォームを利用した コンパクトカー「ファンカーゴ」とセダンの「プラッツ」が それぞれ「ラクティス」「ベルタ」として生まれ変わった(図)。 変わったのは車名だけでなく、両車の狙いも先代とは異なるものだ。

 「ファンカーゴがデビューした1999年とは異なり、コンパクト2ボックス車の競合製品が増えたため、単なるモデルチェンジではなく時代に合わせて顧客のニーズを見直す必要があった」(ラクティスのチーフエンジニア、トヨタ自動車商品開発本部第2トヨタセンター多田哲哉氏)。このクラスの必須条件は、ボディサイズが小さくて運転が楽だけど、室内は広いことだという。
 「この要素がないと、まず選択肢にも入らない」(多田氏)。最近のコンパクトカーの多くはこの条件を満たしているが、効率を追求するあまり「bB」(トヨタ)のような、箱型形状のクルマが増えている。ラクティスの開発にあたり多田氏らが市場調査してみると、顧客は特に箱型を望んでいるわけではないことも分かってきた。さらに顧客の使用実態を見てみると、外見重視で大径ホイールを装着している例も多かったという。
 コンパクトカーとはいえども、タイヤとホイールを替えるだけでも20万~30万円と費用がかかる。さらに大きなホイールで格好が良くなったとしても、回転半径は大きくなり、乗り心地が悪化し、燃費も悪くなるなど、不満も生じてしまう。そしてもう一つ、クルマ本来の「走る楽しさ」が、コンパクトカーでは軽視されていることも分かった。

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図●トヨタの「ラクティス」(上)と「ベルタ」(下)
「ヴィッツ」のBプラットフォームを利用した派生車。従来は「ファンカーゴ」「プラッツ」として海外にも展開していたが、ラクティスは国内専用モデル。