日経オートモーティブ Market Watching

米国に押し寄せるダウンサイジングの波
フルサイズSUVからの買い替え急増

 全米各地の日系/韓国系自動車ディーラーの店先にいま、顧客から下取りした米国系フルサイズSUVがあふれている。「Chevrolet Suburban」、「Ford Explorer」、「Jeep Cherokee」などV8 エンジン搭載のSUVから、トヨタ「Highlander(日本名クルーガーV)」、ホンダ「Pilot」、韓国Hyundai Motor社の「Santa Fe」などV6エンジンのSUVへ買い替える消費者が急増しているからだ。
 フルサイズSUVから“2段クラス落ち”となるトヨタ「Camry」、ホンダ「Accord」、Hyundai「Sonata」などDセグメントのセダンへ移行する消費者も増え、中には「Corolla」「Civic」といった“3段クラス落ち”にダウンサイジングする例も出てきている。

ガソリン価格急騰が引き金
 こうした異常現象に気付いたのは10月中旬。その後、自宅近く(テキサス州ダラス)やロサンゼルス周辺など各自動車ディーラーを巡り、生の声を拾った。すると、日系/韓国系ディーラーで9月以降に米系フルサイズSUVからの買い替えが急増しているという事情は共通していた。2005年10、11月の北米新車販売でも、ダウンサイジングの流れは明確になっている。
 なぜ「9月から」なのか? 理由はやはりガソリン価格。ここ数年、上昇基調にあったガソリン価格は8月下旬のハリケーンカトリーナの襲来をきっかけに急騰。「V8=ガソリン大食い車」というネガティブイメージが庶民のなかで定着していたところに、ダウンサイジングの動きを急加速した。

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米Ford Motor社の「Explorer」
ガソリン価格の高騰で、V8エンジン搭載のSUVは軒並み売り上げを落としている。Explorerの2005年11月の販売台数も前年同月比51.8%減。