日経オートモーティブ 技術レポート

トヨタが目指すカーナビ活用の未来像
カーナビで車両制御
統合制御も視野に開発

 トヨタ自動車は、組み込み関連の展示会「ET2005」(日本システムハウス協会主催)で、カー・ナビゲーション・システムの未来像について発表した。講演したトヨタ自動車第1電子技術部長の林和彦氏は「カーナビによる車両制御システムの開発を強化する」との方針を示した(図)。

 トヨタ自動車の林氏は、カーナビについて「クルマの運動性能を向上させることと同様の位置付けで開発する必要がある。カーナビは車両制御システムの一部」との考えを示した。
 林氏は、カーナビを車両制御に生かす上で重要になるのが、カーナビのHDDを軸とした車両ネットワークにあるとした。カーナビのHDDに、カメラやECU(電子制御ユニット)などからの様々なデータを蓄積し、車両制御用システム、DCM(データ通信モジュール)などとつなげていくという。
 現在実用化しているカーナビの蓄積メディアとしての利用や車両制御ステムへの活用は一部に限られている。例えば、音楽データをHDDにダウンロードできる「G-SOUND」、自車が高速道路にいると判定した場合に利用できる「低速追従機能」、カーブ形状や上り下りの勾配から変速段を設定する「NAVI・AI-SHIFT」などである。
 林氏は、カーナビによる車両制御をさらに発展させるための開発ロードマップを示した。一つはカーナビを蓄積メディアとして生かすもので、もう一つはカーナビを車両制御に生かそうというものだ。

日経オートモーティブ 技術レポート
図●電子技術の進化について講演するトヨタ自動車の林和彦氏
組み込みシステム関連の展示会「Embedded Technology 2005」で講演した。