日経オートモーティブ Inside Story

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 2005年9月に、国内および北米などで販売されるホンダ「Civic」がフルモデルチェンジを受け、8代目として登場した。一方、それとほぼ同じ時期にドイツのフランクフルト・モーターショーで公開され、2006年1月に発売を予定している欧州向けCivicは、日本で発表されたのとはまったく違うスタイルで話題を集めている。実は、スタイルだけでなく、骨格となるプラットフォームも共通性を持たない欧州専用車なのである(図)。
 さらに、欧州専用車の生産が行われる英国の工場では直接生産の立ち上げが行われ、日本で生産のひな型が作られることはない。いわゆるマザーレスでの現地生産開始となる。背景には、欧州市場でもっと存在感を高めなければならないという、ホンダのビジネスとしての目標がある。欧州市場でホンダの認知度はまだまだ低く、当然それは販売台数の低さにつながり、収益の向上がさらに期待されているからだ。

欧州ならではの事情
 さらに、2001年に生産能力を増強した英国工場の稼働率を高めるために欧州市場でCivicの販売を軌道に乗せなければならないという事情もある。欧州で好評の「JAZZ(日本名:フィット)」は、実は日本からの輸出車。ポンド高やユーロ高で為替益が出るといっても、英国工場で生産しているのはSUVの「CR-V」とCivicの2車種しかない。だから、このCivicは絶対に成功させねばならない車種なのだ。
 「クルマの仕様を含め、現地化を徹底することを心がけました」と、開発責任者を務めた松本宜之本田技術研究所上席研究員が語るが、その裏にはホンダとしての大きな決断が秘められていた。

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図●ホンダの欧州向け「Civic」
ボディサイズが全長4250×全幅1760×全高1460mmの5ドアハッチバック。欧州での発売は2006年1月から。ディーラーからは高い評価を得ている。