日経ものづくり 現代ものづくり考

ホームベーカリー

おいしい,簡単は当たり前
「多機能,健康,新素材・新食感」へ

高村 敦(電通・消費者研究センター 主管)

 ホームベーカリーがじわじわ売れている。
 2001年度には10万台程度だった市場規模は,2005年度には15万台(松下電器産業の推計)とみられており,4年間で実に1.5倍にまで伸びている。購入者層は小さな子どもがいる30代が中心といわれ,子どもと一緒にいろいろな素材を入れたオリジナルパン作りを家庭で楽しめるのが魅力に映っているようだ。
 安全,無添加の安心感に加え,基本の食パンなら調合済みのパンミックスを入れればあとはお任せ,というお手軽さも人気の秘密だ。2004年秋に東芝お客様部が実施した調査「いま欲しい調理関連の家電製品」でも食洗機,ゴミ処理機,IH調理器の「新・三種の神器」に僅差で次ぐ4位となっており,今後も堅調な伸びが期待される。
 「Nの健康計画」の本格展開に伴い松下電器産業が2005年9月に投入した「SD-BT113」は,ユーザーから要望が多かった「デニッシュ風パンコース」を業界で初めて搭載した。外皮のサクッとした食感とバターの香ばしい味わいが家庭で気軽に味わえる。さらに「うどん・パスタ生地コース」も内蔵し,コシのあるうどんや生パスタのもちもち感も楽しめる優れものだ。
 象印マホービンの「パンくらぶ BB-HA10」は,食パンなら「もちもち」など3種類の食感が味わえ,専用パンミックスがなくても強力粉・バターなどで作れる。天然酵母を使ったパンは,健康志向の主婦層に人気だ。

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ホームベーカリーの「SD-BT113」(左上,松下電器産業),「BB-HA10」(右上,象印マホービン),「SPM-MP31」(左下,三洋電機),パンも焼けるIH炊飯ジャー「JKG-A型」(右下,タイガー魔法瓶)