日経ものづくり 詳報

3次元データをPDFやOAソフトでも
活用拡大に向けCADベンダーに動き

JTや3D XMLといった軽量3次元データ形式が核に

 手間暇かけて作った3次元データを生産指示書,設計変更通知書,カタログなどでもっと有効に使いたい。そうしたユーザーのニーズに応えるべく,CADベンダーの2大陣営である米UGS社,仏Dassault Systemes社/米IBM社が動いている。特に最近では,3次元CADを持っていないユーザーでも,3次元データを利用できる環境が成立しつつある点が新しい。

PDFで3次元データを回転
 「JT形式の3次元データをPDFに取り込めるようにすることで合意した」。こう発表したのがUGS社と米Adobe Systems社の2社である。JTはUGS社の軽量3次元データ形式だが,それをPDFに張り付け,回転させて表示させることなどが可能になる。
 UGS社の設計開発ツールからは,3次元形状データを含むPDFを直接作成できるようになる見込み。作成したPDFは「Adobe Reader 7.0」で読める。また,Adobe Systems社は「Adobe Acrobat」の将来のバージョンで,JT形式の3次元データをPDFに取り込む機能を整備する見込み。Adobe Acrobat 7.0相当のPDFの場合,既に「Universal 3D(U3D)」形式の3次元データを取り込めるようになっている(図)。JT形式の取り込みは,この機能をベースとして実現することになる。PDFに格納した時点ではU3D形式になっているものとみられる。

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図●JTデータを埋め込んだPDF
「Adobe Acrobat」の画面上で,マウスでJTデータ(エンジン)に触れると,メニューのアイコンが現れる。移動/拡大・縮小/回転といった表示のコントロールができる。