日米の特許紛争に始まり,フロー・ハンダ付け装置の腐食問題,狭ピッチ・コネクタのウイスカ問題など,RoHS指令への対応に伴うハンダのPbフリー化の過程で,機器メーカーはさまざまな問題に直面してきた。欧州でRoHS指令が施行されるのが2006年7月。残り8カ月足らずとなった今,新たな課題が浮上してきた。Pbフリー・ハンダで実装した積層セラミック・コンデンサの絶縁抵抗(IR)が劣化するというのだ。ただし,IR劣化は必ず発生するものではなく,ある特定の条件が重なった場合にのみ生じるようだ。

 特定の条件は2つ。1つは「Sn-Zn系Pbフリー・ハンダを使って実装していること」,もう1つは「湿度が高いこと」である。この2つの条件が重なると積層セラミック・コンデンサが劣化し,IR値が小さくなってしまう恐れがある。現時点で機器メーカーからIR劣化による製品不具合の報告はないようだが,数社の部品メーカーが危機感を募らせている。