日経ものづくり ITコンサル日記

生販直結を目指すも
海外販社に落とし穴

大黒 天馬 Ooguro Tenma
1964年生まれ。愛知県出身。大学卒業後,大手輸送機器メーカーに入社し,主に海外工場の生産システム立ち上げに従事。その後,SCMコンサルタントに転身,現在は大学講師,国内外企業へのITコンサルテーションなど幅広く活動中。


 最近,自動車や家電などの製造業を2~3社訪問した。SCMのトレンドは,市場と工場の直結による最適生産に移りつつあるようだ。
 積極的に海外展開をしている企業では,エンドユーザーへの実際の販売数量をつかむのが難しい場合が多いが,代理店への販売実績と生産を連動させることで,グローバルでの流通在庫をコントロールしようと努力している。
 ようやく,市場と供給の連動というSCM本来のコンセプトに,業務改革が追い付いてきた感がある。しかし海外市場が相手の場合,どうしても物流リードタイムが長くなるため,数カ月先の販売計画から先行して生産する必要がある。そして,この販売計画を立案するために,販売実績を参照するのが一般的な手法でもある。
 さて,新しい海外市場で自社販売網を確立するため,現地の代理店などを買収して販売会社とすることがよくある。子会社化すれば財務情報のみならず,販売や在庫などのデータも取得できる。より市場に近い情報に基づいて生産することが可能になるわけだ。

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