日経ものづくり 現代ものづくり考

リア・プロジェクション・テレビ

50インチ型以上でも値ごろ感
大画面テレビの「ダークホース」

高村 敦(電通・消費者研究センター 主管)

 オーソン・ウエルズ氏の映画「第三の男」以来,「第三の」という形容詞はどこか謎めいた,それでいて何かを予感させる言葉だ。
 ところで現在,日本において液晶,PDPに続く「第三の大画面テレビ」といえばリア・プロジェクション・テレビ(以下リアプロ)のことだ。住宅事情の良い米国では2004年,PDPテレビの4倍近い350万台を売り上げたが,日本の狭い部屋には置きにくいなどといわれ,各社はその日本市場への投入には長く及び腰であった。
 しかし,かつてのブラウン管方式のリアプロと異なりマイクロ・ディスプレイ方式の採用によって「大きい・重い」「暗くて見にくい」といった欠点が解消されたこと,また50インチ型を超える液晶/PDPテレビが当面手の届く価格まで下がるめどがないことなどから,2005年に入って各社が比較的コストの低いリアプロを超大画面のジャンルに投入し始めた。

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リア・プロジェクション・テレビの「LIVINGSTATION ELS-57S1」(左上,セイコーエプソン),「Big Screen EXE HD-61MD60」(右上,日本ビクター),「62-DL5」(中央,三菱電機),「BRAVIA Eシリーズ KDF-50E1000」(右下,ソニー),「GRAFINAシリーズ PTV-55HD1」(左下,三洋電機)